近年タイヤの性能が良くなったことや道路の整備状態の向上などによって、パンクなどタイヤのトラブルは減少しているはずなのですが、JAF(日本自動車連盟)によるとパンクなどタイヤのトラブルによる出動件数は全体の2位を占めるとか。
昔はスペアタイヤが積んであって、道路の端などでタイヤ交換を行うドライバーの姿って珍しくはなかったのですが、最近の車はスペアタイヤを積んでいないことが多く、代わりにパンク修理キットが積まれているわけですが、このパンク修理キットでは対処できないタイヤのトラブルが多くなっています。
それはバースト(破裂)が原因。
走行中にタイヤがバーストするとどうなるのか、またバーストした時にはどのように対処するべきか。
そしてバーストを防止する方法なども見ていきましょう。
バーストとパンクはまったく違う
バーストとパンクはまったく違います。
パンクと言えば釘が刺さったことによってタイヤから空気が漏れていくケースが多いのですが、現在の自動車のタイヤはチューブレスタイヤがほとんどで、釘が刺さってもすぐに空気が漏れ出してタイヤがペチャンコになることはありません。
徐々に空気が漏れていき少しの間は通常通りに運転ができますし、ドライバーによってはなかなかパンクしたことに気付かないかもしれません。
ところがバースト(破裂)するとその音や振動と運転のしにくさによってすぐに気づきます。
以下はJAFの空気圧不足でも起きるタイヤのバースト【JAFユーザーテスト】という動画です。
トップの画像はバーストしたタイヤで、〝破裂〟したことがよく分かると思います。
小さな穴が開くといったものではなく、爆発音を伴って破裂してタイヤがボロボロになり走行ができなくなります。
高速走行しているときにタイヤがバーストすれば、ハンドルが取られて操縦は極めて難しくなり、他の車両との事故に発展する危険性がかなり高い、本当に危険なんです。
バーストする前に兆候はあるの?
バーストする前の兆候についてですが、タイヤが劣化(ヒビ・キズ・すり減っている・経年劣化)していたり落下物を踏んでバーストする場合には兆候らしい兆候はありません。
いきなりタイヤが破裂する感じです。
ところが先ほどの動画にもあったように、空気圧が低下している状態で起こるバーストの場合にはタイヤが波打つスタンディングウェーブ現象が起こります。
すると最初は小刻みな振動が伝わってきて、やがて大きな振動へと変化していきます。
またタイヤが焦げているニオイもしてくるでしょう。
これらの兆候が現れたらバーストの一歩手前かもしれませんので、安全な場所へ車を停止させます。
バーストした時の対処法
運転中に突然起こるタイヤのバーストですが、では実際にバーストした時にはどのように対処するべきでしょうか。
厳禁!急ブレーキと急ハンドル
タイヤがバーストすることでいつものようなハンドル操作はできなくなります。
場合によってはタイヤではなくホイールで走行している状態になっているかもしれません。
音や振動に驚いて急ブレーキを踏んだり急ハンドルを切りたくもなるでしょうが、まずはハザードランプを点けて周囲の車に異常を知らせてください。
そしてゆっくりと減速しながら路肩の方へ寄って行ってください。
タイヤがバーストした状態で急ブレーキを踏んだり急ハンドルを切ったりすると、思ってもみない所へ車が行ってしまう危険性が非常に高いですから、ゆっくりと道路の端などへ寄せながら停車させてください。
特に高速道路などで急ブレーキを踏むと追突される危険性がありますので、周囲の車に注意してください。
ハザードランプはつけたまま車から離れる
車を停止させた場所が駐車場やSA・PAなどではなく路肩の場合ですが、ハザードランプをつけたまま車から降ります。
高速道路上の場合は車の後方に非常停止板(三角停止板)を設置します。
タイヤの状態が心配だからと車の周囲にいると、走行車両に接触される危険性がありますので車には近づかないほうが良いでしょう。
バーストした場合はタイヤを離れた位置から見てもわかります。
ロードサービスに連絡
最近はスペアタイヤを積んでいない車が多くなり、その代わりにパンク修理キットが積まれています。
ただバーストした場合にはパンク修理キットではどうすることもできません。
またバーストした状態でも低速なら大丈夫だと運転しようとする人もいますが、ホイールも変形してしまうなど修理代が高額になりかねませんので、ロードサービスに任せてしまうほうが良いです。
バーストの原因と対策
落下物を踏むことで起こるバーストは防ぎようがありません。
上手く避ける以外に方法はないですよね。
しかし実際に起こるバーストの大半は空気圧不足によるものが多いようです。
昔はガソリンスタンドで給油中に店員に空気圧のチェックをしてもらうことも多かったのですが、いまはセルフ給油が主流ですからなかなかタイヤの空気圧まで頭が回りませんよね。
でも1か月に1度は空気圧のチェックを行いましょう。

その他にはタイヤにキズやヒビが入っていないか、スリップサインが出ていないかなど、タイヤの状態を目で見て点検することも重要です。
あまり走っていなくても経年劣化で生じるヒビもやはり危険です。
タイヤは価格が高いかもしれませんが、あなたや同乗者を守るためにもタイヤの点検と交換は適切に行いましょう。
ランフラットタイヤでもバーストします
最近は高級車などにランフラットタイヤが標準で装備されていたりします。
パンクしないタイヤなどと言われていますが、ランフラットタイヤもパンクはします。
ただし80㎞/hまでの速度で80㎞(メーカーによっては50km)までならば走行できるとなっていますので、ふつうのタイヤよりははるかに安心できますよね。
ところがバーストに関してはランフラットタイヤでも突然起こります。
空気圧の低下が原因でも起きますし、ヒビやキズなどによってもバーストは起こります。
そしていくらランフラットタイヤでも、バーストすればそれ以降の走行はできません。
パンクのように空気が徐々に抜けていくのではなく、タイヤが破裂してしまうのですから。
まとめ
給油の際にガソリンスタンドの店員にお願いして空気圧のチェックをしていた昔と違って、今はセルフ給油を利用する方がほとんど。
このためか空気圧不足によるバーストなどタイヤのトラブルが増加傾向のようです。
タイヤは路面と設置している唯一のパーツですから、できるだけマメなタイヤの点検を行いましょう。
もしバーストしてしまった場合には急ブレーキや急ハンドルを避けて安全な場所へ停止し、ロードサービスに連絡しましょう。
バーストはパンク修理キットでは対応できません。